煙突掃除

「やあこんにちは、アルフレッド」
「ケント様。ようこそお出で下さいました」
 帽子を取って挨拶するクラークを、ウェイン邸の老執事は薄く微笑んで迎えた。
「申し訳ありませんが主は少々、トレーニングが長引いておりまして」
「はは、相変わらず熱心だね」
 気を悪くする事もなく、クラークはそう答えた。アルフレッドが小さく頷き応接間の扉を開く。
「こちらで少々お待ち願えますか?呼んで参りますので」
「勿論だよ。……って」
 クラークは暖炉へと顔を向けたアルフレッドに首を傾げた。
「旦那様、ケント様がお越しです!…もう少々お待ち下さい」
「え?」
 どう言う事なのだろうとクラークは暖炉を見やった。
 その瞬間、暖炉からにょっきりと生首が伸びた。
「ああ、もうそんな時間か……」
 生首が言った。
 予想だにしなかったホラーな事態を見て、クラークは――卒倒した。



「ですから煙突掃除の真似事はお止めになった方が良いと」
「…分かった、客人のある日は止めにする」
 煙突の口から内部に入り、暖炉から出る、という修行。それをこなしたばかりのブルースは、アルフレッドの苦言とソファに横たわるクラークに、僅かながらも肩を落とすのだった。

ロング・ハロウィーン(多分)で見てどびっくりでした。
他にも色んな修行をしていましたが、ちゃんと見守る執事の姿がツボ。

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