「ピーター・パンは御伽噺だよ」
実在はしていない、と例えられた男は答える。膝の古い絵本を見下ろしながらブルースは首を振った。
「そっくりだろう。お前は空を飛ぶし、我が家の窓から入って来る」
「その点に関しては否定しないけれど」
でも、とクラークは微笑んだ。
「僕は夜中だけじゃなくて明け方にも来るし、君と予定が合ったら昼間からでもお邪魔するじゃないか」
「…まあ、それはそうだな」
「それに、僕がここに来る理由は、影を探しているからじゃない」
ブルースが視線を上げると、クラークが片目を瞑った。
「確かに、我が家にお前のビザロはいない」
淡々と言ってのけたブルースにクラークは吹き出し、ああそうだ、そうだね、と何度も繰り返した。
御伽噺
超人映画1のお蔭で超人=ピーター・パンネタが刷り込まれてしまいました。
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